Bスポット治療とは?
Bスポット治療は近年、新型コロナウイルスの後遺症の改善が見込める方法として注目されてきました。
別称としてBスポット療法、EAT、上咽頭擦過療法とも呼ばれますが、すべて同じものを指しています。
耳鼻咽喉科的には、綿棒子(綿のついた棒状の医療器具)の先に1%塩化亜鉛水を浸して口腔上部と咽頭(のどちんこの奥の方)に直接塗布する伝統的な処置治療です。
当院で実施してきたBスポット治療
Bスポット治療は、私が耳鼻咽喉科医として40年ほど前の勤務医のころ、上司から学びました。
勤務していた総合病院の事務長がこの治療により体の調子が良くなるという理由で、毎日耳鼻咽喉科の外来でこの処置を施しておりました。私は、耳鼻咽喉科医として40年間(開業後30年間)にわたり患者さんの症状を聞き、選んでこのBスポット治療をおこなってきました。この治療の有効性については、医学科学的に証明されたものではありません。
しかし、多くの患者さんにおこなうとそれだけで症状が改善する方がみえます。現在も、効果を求めて、この処置を希望して受診する患者さんは絶えません。
近年、Bスポット治療は、当院における新型コロナ後の後遺症治療として、ブレインフォグ(頭がすっきりしない)、体調がすぐれないなどの患者さんにおこなって有効性を実感しています。また、コロナ後の嗅覚味覚障害の患者さんには、併用治療としておこなって効果を上げています。
Bスポット治療の対象となる慢性上咽頭炎
口蓋垂(のどちんこ)の奥に「上咽頭」と呼ばれる部分があります。
この、「上咽頭」という部分は、免疫細胞が集まっている箇所で、鼻・口から進入してきた細菌やウイルス、ホコリなどの異物を最初にとらえる部分となります。(Bスポット治療の「Bスポット」もこの部分のことを指します)
上咽頭は免疫細胞の集まる箇所であり、細菌やウイルスにさらされる機会も多いため、風邪を引いたときなどはしばしば炎症を起こし、炎症が慢性化することが多いです。(慢性上咽頭炎)
新型コロナウイルスに感染後に咳、痰、頭痛、倦怠感、喉の違和感、味覚障害、嗅覚障害が続く、という方も、慢性上咽頭炎という状態になっていることが多く、Bスポット治療が注目されています。
Bスポット治療の効果があるとされている症状
一例として、下記のような症状に対してBスポット治療が有効とされています。
- のど風邪
- 後鼻漏(鼻水がのどに流れ落ちる状態)
- 痰がらみの咳
- 長引くのどの違和感
- 慢性的な頭痛
- 倦怠感
- 長引く肩こり、首痛
また、新型コロナウイルスの後遺症、例えば下記のような症状にも有効性があるという報告もあります。
- ブレインフォグ(頭がスッキリせずモヤモヤする状態)
- 全身倦怠感などの体調不良
- 嗅覚障害(併用療法として)
- 味覚障害(併用療法として)
Bスポット治療の流れ
①WEB予約の上受診
まずは当院ホームページよりWEB予約にて一般診療を受診してください。 診察時に、問診や実際に上咽頭、喉の状態を視診し、治療の計画を立てます。
(コロナ感染後の場合は、一般診療WEB予約はコロナ発症後11日目以降としてください)
②Bスポット治療のご説明
Bスポット治療が適切であると判断した場合、医師より治療のご説明をさせていただきます。 いくつか注意点があるため、ご了承の上治療を実施します。
注意事項
- Bスポット治療は、直接患部に薬剤を塗布する治療です。そのため、強い痛みが伴う場合があります。 (上咽頭の炎症が強い場合は、特に痛みも強くなる傾向があるようです)
- 炎症が強い場合、治療による痛みが数時間~翌日まで持続する事があります。
- 治療後に喉からの少量の出血を伴うことがあります。また、鼻水・痰、一時的な症状悪化や、頭痛なども生じることがあります。
- 治療を続け上咽頭炎が改善してくると、上記の治療時の痛みや出血などの症状が弱まるとともに、悩んでいる症状の改善がみられます。
③治療の実施、継続
注意事項を確認頂けましたら、治療を実施します。治療そのものは上咽頭に薬剤を塗布する処置のため、すぐに終わります。
また、治療は継続して行う必要があります。目安としては週1~2回の治療を実施し、症状が改善するまで通院をしていただきます。経過にもよりますが合計10回程度の治療を行うことが多いです。