当院で実施している処置治療

耳鼻咽喉科医は、光学ライトをメガネや額につけているため、患部に光を当てながら両手を使って処置を行うことができます。あくまで下記は一例ですが、当院では以下のような処置治療を行っています。

 

耳の処置

 

 

耳洗浄

37℃に温めた生理的食塩水(温生食)で耳の中を洗浄することを言います。

外耳炎、耳漏を伴う中耳炎に対して行います。

これらの原因は薬剤耐性菌が多く抗生剤が効きにくいため、当院では耳洗浄で対応する事が多いです。外耳道真菌症(カビ)にも有効です。

また、乳幼児(0~2歳児)の排膿する中耳炎に対して、鼻処置(鼻水吸い取り)の徹底と同時に行うと抗生剤の飲み薬無しでも軽快することが多いです。

 

新生児の耳介感染症

生後4か月未満の赤ちゃん(首が座っていないベビー)は、頭の向きを自ら変えることができないので、横向きにいつも同じ方向に寝かせておくと下側の耳介の表面がむれて湿潤となり膿っぽくなったり匂ったりすることがあります。

新生児は皮膚のバリア機能が弱く、耐性菌(MRSAという)が皮膚科によると50%存在するといわれています。通常の抗生剤軟膏の塗布や抗生剤の点耳は効果が低くいので、耳介全体を生理的食塩水で洗浄して、きれいにふき取る治療が有効です。

 

耳管処置(主に小児に行います)

鼻水を鼻腔から徹底的に吸い取った後、鼻の先にコンプレッサーから送気できるガラス管を押し当てて、1.2気圧ほどの圧をかけて「耳ぬき」をおこないます。送気と同時に唾液の飲み込み(嚥下を)を行うとぬけるので、患者さんの協力が必要です。

 

耳管カテーテル通気処置(主に成人に行います)

先が彎曲した細長い金属管を鼻孔から挿入して、鼻の奥の耳管開口部に押し当てて、コンプレッサーから送気して圧(1.2気圧ほど)をかけることにより、いわゆる「耳ぬき」を行う処置です。交互に片側ずつ行う処置であり、「耳がぬけにくい側」もうまく抜けると直後にスッキリします。

耳管狭窄、滲出性中耳炎、航空性中耳炎などに有効です。

 

耳垢除去(耳そうじ)

耳垢の除去も立派な医療行為です。ご自身での耳かきのしすぎで長期間奥に押し固められている耳垢については、そのまま除去すると耳を傷つけることがあるため、耳垢水と呼ばれる耳垢をふやかす薬を使用していただいたうえで、再度来院・耳垢を除去することもあります。

 

鼻の処置

 

 

鼻汁吸引(鼻水吸い取り)

耳鼻咽喉科医が耳鼻咽喉科機器を用いて徹底的に鼻水を鼻の奥(上咽頭、副鼻腔自然孔)まで吸引する事が効果的です。中耳炎を繰り返す乳幼児にも連日の鼻水吸引で、抗生剤の飲み薬無しで軽快することが多いです。粘稠な鼻水でも、とにかく徹底的に鼻の奥まで吸い取ることが大切です。

また、成人患者について妊婦さんなど抗生剤内服困難な患者に対して、連日の徹底的な鼻水吸い取りと鼻ネブライザー治療とを組み合わせると、より効果が期待できます。

 

咽の処置

 

 

Bスポット治療

Bスポット治療は、鼻からのアプローチ方法もあるが、口からのアプローチが一般的です。捲綿子に塩化亜鉛液を浸して、口から咽の上(上咽頭)に塗布します。直後に痛みや出血を伴う事があるが、処置後しばらくしてから症状が軽減する患者が多いです。医学的論拠が無い治療であるため、症状が改善する患者に対してのみフォローアップします。

 

硝酸銀処置

アフタ性口内炎に対して綿棒で硝酸銀を塗布する。直後に生理的食塩水で中和して無害化します。口内炎を傷にする事により、口腔内の傷の早い再生力に置き換える治療です。

ヘルペス性口内炎に対してもおこないますが、ヘルペス性口内炎は部位や形状やサイズや集簇などにより鑑別し、効果的な内服薬を処方します。

 

ネブライザー

ジェットネブライザーとは、コンプレッサーから圧出(1.8気圧ほど)された空気を、管を通してガラスのネブ球(この中に薬液がある)に送り込み、ネブ球を患者さんが鼻や口(咽)にあてることによって粒子を飛ばして患部に付着させるものです。薬剤として抗生剤やステロイドを使い、鼻や喉の局所に効果があり、これらの薬による全身的な副作用をほぼ伴わないので、妊娠中でも安心して行うことができる治療です。

当院においては、気管支拡張薬をふくむジェットネブライザー治療も行っており、咳喘息であればネブライザー吸入直後に咳や息苦しさが軽減します。

咳喘息は、耳鼻咽喉科では喉頭ファーバーにより気管(声門下)を観察して、気管粘膜の所見から疑い、総合的に診断します。

当院では、開業時からジェットネブライザーを使用しており、患者さんが手に持つガラスのネブ球は1回ごとに交換消毒して衛生的です。