めまい

激しいめまいを初めて体験し、救急車を呼んで基幹病院にかかりCTやMRIを撮影したけれども、脳には異常がなかったという方が、身内や周りにいらっしゃるのではないでしょうか。

一方、めまいはよくある症状で寝ていると治まるので、病院にはかからないという人も多いようです。それでは、めまいで気を付けるべきことからお話をします。

危険なめまい

めまい症状よりもこれに伴う症状に気を付けましょう。特に家族が気付いてあげることが大切です。
「ろれつが回らない」「麻痺やしびれがある」「ものが二重に見える」「うまく歩けない」これら随伴症状があれば、救急車を呼んですぐに基幹病院の脳神経内科・外科を受診してください。

めまい

耳鼻咽喉科のめまい

症状を伴う

耳の症状(「耳鳴り」「難聴」などの症状)を伴うめまいでは、突発性難聴やメニエール病が考えられますので、耳鼻咽喉科専門医を受診します。

これらは、聴力検査や眼振検査により診断します。当院では、赤外線カメラを装着した眼振検査装置を用い、モニターに眼球運動を映し出して観察します。必要があればこれを録画して患者さんに供覧します。振り子のように動く自分の眼球を見て、患者さん自身が自分の状態を理解でき、病態やその経過を把握することが患者さんの安心につながります。

治療は、メニエール病は内リンパ水腫(内耳のむくみ)が原因ですので、内耳の血流を改善する薬、ビタミン剤や内耳のむくみを取る利尿剤の水薬、発作時は点滴治療などを行います。

症状を伴わない

耳の症状を伴わないめまいは、めまいが起こっている状況をお聞きするだけで診断できる場合も多いです。

体の動きに一致してぐるぐる回り、しかも1分以上持続しないめまいは、良性発作性頭位めまい症です。このめまいが耳鼻咽喉科のめまいの30%以上を占めています。内耳耳石器からはがれた耳石が三半規管内を浮遊し、体動時に耳石が三半規管内を移動することにより、これをめまいとして体感してしまうことで症状が出ます。

治療では、この理論に基づき、体位変換することにより耳石を元の場所に戻すエプリー法があります。反対にめまいが突然発症し、耳の症状もなく一定のめまいが一日中持続し続けるものを前庭神経炎といいます。先行する風邪の症状があることが多く、前庭神経の炎症によるものと考えられています。治療は対症療法で、治療期間に個人差はありますが、めまいは自然に治まっていきます。

メンタル的な症状

その他、めまい症状はメンタル的な症状の一つとして表れることがあります。いろいろ検査を受けても異常が見付からないめまい中に、うつ病(仮面うつ病)があります。

めまいの病気の正しい診断を受けるには耳鼻咽喉科専門医による診察検査が必要です。めまいで悩んでいる方は、ぜひ耳鼻咽喉科専門医に相談してください。