スギ花粉症|舌下免疫療法

スギ花粉

スギ花粉症で悩んでいらっしゃる方に朗報です。スギ花粉症の手軽な根治治療がやっと保険適応になりました。実は、スギ花粉症根治治療には、以前より注射による減感作療法がありましたが、アナフィラキシーショックの問題や通院治療の継続の問題、注射であるという理由で多施設では行われていませんでした。平成26年10月より保険適応となった舌下免疫療法は、自宅でできるスギ花粉症の根治治療として広まりつつあります。

適応:血液検査で「スギIgE抗体陽性」と出て春の時期に花粉症の症状がある方で、5歳~70歳までが保険適応です。ただし治療が受けられない場合があります。これは、近いうちに妊娠を希望される方、高血圧でβ遮断薬を服用中の方、コントロール不良の喘息の方、免疫不全のある方、がんの治療中あるいは再発の可能性がある方、重篤な精神障害の方、治療継続を正しく理解できない方などです。

方法

シダキュアというスギ花粉の錠剤を舌の下に1分間保持した後、飲み込みます。この後5分間飲食禁止です。これを、毎日最低2年間続けます。ポイントは、治療は一年中ですが、スタートは6月~11月の間にしかできないことです。つまり、スギの飛散時期に治療スタートはできません。低用量のシダキュアを1週間行い、以後高用量のシダキュアで維持となります。以後毎日同じ量を同じように舌下します。自宅でできますが、舌下治療後2時間は入浴、アルコール摂取、激しい運動はできません。

効果

現在、約2万人の方が治療をスタートしていますが、過去の治験の結果では、約2割の方に症状の消失がみられます。おおむね、8割の方に症状の改善がみられています。しかし、2年間続けても約2割の方が治療無効というデータもあります。

副作用

治療開始にあたり、問診を色々と行い、治療継続のお約束を患者さんといたします。これは、免疫治療の宿命ですが、アナフィラキシーショックという問題のためです。現在まで舌下免疫療法でショックを起こした事例は日本ではありません。しかし、ショックのリスクはゼロではありません。このため、治療の初回は必ず医院で行い、30分ほど医院にとどまってもらって安全を確認します。治療をされる患者さんにはシダキュア治療カードをお渡しし、万が一(舌下治療直後に重篤な症状が出現)の場合はカードに記載した指定医療機関にかかっていただけるようになっています。現実には、現在まで当院でこの治療を行ってきた患者さんでは、舌の下が腫れるという程度の副作用しか発生しておりません。正しく治療を行えば安全で手軽な根治治療法であると思われます。

舌下免疫療法を行える(シダキュアを処方できる)医師は、これら免疫療法を熟知した舌下免疫療法登録医でなければできませんので、問い合わせの上受診してください。