突発性難聴
誘因なくある日突然、難聴、耳鳴り、めまいが発症する病気を突発性難聴といいます。早期診断早期治療がとても大切な病気です。年齢を問わず子供から高齢者まで発症する病気ですので、注意が必要です。
症状
原因無く突然一側の耳に症状が起きます。「何もしていないのに急に片耳が聞こえなくなった」「急に耳がキーンといいだして止まらない」「電話を取って聞こえないことに気付いた」など訴えは様々です。
ポイントは、症状は持続して何時間たっても変わらないことで、めまい、ふらつきを伴うことがあります。しかし、後日さらに聞こえが悪くなることはありませんし、あとから反対の良い耳にうつることはありません。
診断
耳鼻咽喉科専門医の診察を受け、まず中耳炎などが無く鼓膜が正常なことを確認します。この後、聴力検査を行い一側の聴力が低下していることを確認します。患者さんが、「原因が無く、この日この時から突然に耳が聞こえなくなった」ことをお話しされれば診断できます。
非常にまれですが、聴神経腫瘍によって同様の症状が起こることがありますので、回復の状況によってはMRIなどの画像診断をすることがあります。
また、一旦治った後、同様の症状が繰り返し起こる場合は、別の病気のメニエール病と診断されます。
治療
名古屋大学関連の病院・診療所では、血液の循環を良くするお薬、ビタミン剤、ステロイドホルモン剤の点滴治療を毎日行います。原則として、毎日点滴を行い1週間ごとに聴力検査をし、経過をみます。内服治療のみで行っている他施設もあります。
発症後2週間~4週間までが回復の可能性がある期間ですので、早期診断早期治療が肝要です。発症後6週間以上回復が無い場合は、聴力は治らず悪いまま固定します。他に、名古屋大学ではステロイドを直接耳に注射する鼓室内ステロイド注入療法をおこなっています。
予後
発症時点の聴力が悪ければ悪いほど回復は良くありません。また、発症時にめまい、ふらつきを伴う場合も、回復が悪い傾向にあります。突発性難聴の患者さんのうち、約2割の方が完治し、約6割の方がある程度回復し、残念ながら約2割の方が治りません。
2年ほど前に、名古屋大学が中心となって突発性難聴の全国疫学調査をおこないましたが、治癒率は30年前のデータと変わっていませんでした。
原因
よく分かっていません。内耳の障害が病態ですが、しかし、なぜ内耳が障害されるのかは謎です。ストレスが要因の一つと言われています。
ある日突然前ぶれなく急に耳鳴りがしたり聞こえなくなったときは、すぐに耳鼻咽喉科専門医にかかりましょう。突発性難聴の診断を受けたら、医師の指示に従いすぐに治療を開始してもらってください。仕事の都合などで治療を後回しにしないで!!